拡張するファッション You reach out – right now – for something : Questioning the Concept of Fashion
会期:2014年6月14日(土)-9月23日(火/祝) *会期中無休
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団
助成:芸術文化振興基金、財団法人自治総合センター
協賛:株式会社資生堂
協力:イマジン・アートプランニング、エプソン販売株式会社、フォトグラファーズ・ラボラトリー、株式会社リフト
企画原案:林央子
企画:高橋瑞木(水戸芸術館現代美術センター 主任学芸員)
本展覧会は、宝くじの助成を受けて開催するものです。
◎観覧料:一般950円(760円) 大学生650円(520円) 高校生以下または18歳未満・丸亀市内に在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方は無料
*( )内は前売り及び20名以上の団体料金。
*常設展「猪熊弦一郎展 のびのびと描く」の観覧料を含みます。
*8月23日(土)、24日(日)は1階ゲートプラザにて「まるがめ婆娑羅まつり」開催のため観覧無料(ただし展示室内に音が響く場合があります)
「ファッションは楽しいし、ファッションについて考えることも楽しい。それは美しさに関係することであると同時に、他の誰にも代えがたい自分というものを、生活のなかのどこかで一瞬、垣間見せてくれるものだからだ。ファッションについて語る言葉、借り物でない自分の言葉を取り戻すことはどんな人にも何かしら、勇気のようなものを人生に与えてくれるに違いない、と思います。」(林央子著『拡張するファッション』より)
2011年に出版された林央子の著書『拡張するファッション』(スペースシャワーネットワーク)をもとに企画された展覧会です。本書は、1990年代に資生堂企業文化誌『花椿』の編集者として、その後はフリーランスとなり自ら編集する個人雑誌『here and there』を中心にファッションやアートを紹介してきた林が、1990年代半ば以降にファッションの世界やその周辺で起こった新しい動きをまとめたもので、林が注目するアーティストたちの生き生きとした活動が、多くの反響を呼びました。
本書をもとにした本展では、クリエーションの面からファッションにアプローチします。ファッションを、人々が日常生活の中で美的感覚を養い、生き方や考え方を他者にコミュニケートするための手段ととらえ、ファッションを軸にインディペンデント出版活動、写真、絵画、映像、パフォーマンス、ワークショップなどさまざまな手法を用いて現代的なものづくりを行っている国内外のアーティストたちをご紹介いたします。
流行や消費の対象ではなく、最も身近な自己表現の場として、ファッションをあらためて考える機会となることでしょう。
[参加アーティスト]
青木陵子、神田恵介×浅田政志、COSMIC WONDER、スーザン・チャンチオロ、長島有里枝、パスカル・ガテン、FORM ON WORDS、BLESS/小金沢健人、ホンマタカシ、ミランダ・ジュライ、横尾香央留
DIYメディアとして、雑誌『Purple』『here and there』、出版社Nievesの3媒体を紹介、展示構成は服部一成
[関連プログラム]
◎ホンマタカシ サテライトマルガメ vol.2
展示会場の外にも作品があらわれます。[詳細]
期間:2014年6月14日(土)−9月23日(火・祝)
*観覧可能な時間、休業日は会場ごとに異なります。
1. café la taupe (カフェ・ラ・トープ)
ホンマタカシ×大原大次郎《稜線》2014年
場所:丸亀市通町28−3
営業時間:11:30−22:00(LO21:00)
定休日:月曜日、第1火曜日
TEL:0877-23-3008
*営業時間は貸切等で変更することがあります。
*6月14日は都合により営業時間は17:00まで(LO16:00)。
2. カフェレストMIMOCA
ホンマタカシ《三越包装紙》2014年
場所:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館3階
営業時間:10:00−18:00(LO17:30)
定休日:会期中無休
TEL:0877-22-2340
◎FORM ON WORDS「ファッションの時間」アーカイブ展示
8月2日(土)-6日(水)に開催したワークショップのアーカイブを展示しています。[詳細]
会期:2014年8月10日(日)-9月23日(火・祝) *会期中無休
時間:10:00-18:00
*9月21日(日)は会場内で別のワークショップを開催していますが、展示はご覧いただけます。
◎横尾香央留 ワークショップ「ハガキに刺繍」
ハガキに言葉や絵を描くようにペンを針に持ちかえて刺繍をさし、誰かにおくってみましょう。[詳細]
日時:2014年9月21日(日)〈午前の回〉10:00-12:00〈午後の回〉13:00-15:00
場所:3階展示室C、2階造形スタジオ
対象:小学4年生〜大人 (針を使ったことがある方)
定員:各回20名
参加料:200円
申込締切:9月8日(月)必着
◎対談:林央子×ホンマタカシ
本展企画原案者と出品作家が展覧会について語ります。[詳細]
日時:2014年9月21日(日)16:00−
場所:3階展示室C
聴講料:無料(ただし、拡張展観覧チケットが必要です。)
申込み:不要
◎キュレーターズ・トーク
本展担当キュレーター(古野華奈子)が展示室にて展覧会の見どころをお話します。
日時:会期中の日曜日 14:00−
参加料:無料(ただし展覧会チケットが必要です)
申込み:不要(1階受付前にお集まりください)
[展覧会関連出版物]
◎『拡張するファッション ドキュメント』 林央子編著 (DU BOOKS)
水戸芸術館現代美術センターでの展覧会の様子が本になりました。ホンマタカシによる展示風景写真や出品作家と林央子との対話Q&Aなど盛りだくさんな内容です。
初版発行:2014年5月23日
価格:2700円(税込)
◎『拡張するファッション』 林央子著 (スペースシャワーネットワーク)
本展覧会の元になった書籍です。
初版発行:2011年6月14日
価格:1944円(税込)
[作家プロフィールおよび出品作品]
青木陵子(1973−)
身近な自然や日常の断片、幾何学模様など、画面のなかに様々な要素を配し、伸びやかな線と色彩で紡ぎ出すドローイングで知られる。主な個展に「クリテリオム51」(水戸芸術館、2002)、「HAMMER PROJECTS: Ryoko Aoki」(ハマー美術館/ロサンゼルス、2005)、「ワイルドフラワーのたね」(オン・サンデーズ、2010)、主なグループ展に「ドクメンタ12」(カッセル、2007)、「絵画の庭」(国立国際美術館、2010)など。
本展では、自身の家族が生活のなかでそれぞれに手作りにいそしんでいることに着目し、それらからインスピレーションを受けて描いたドローイングを、家族が作った衣服や雑貨とともにインスタレーションとして構成。
神田恵介(1976−)
2005年、自身のブランド「keisuke kanda」をスタート。リボンや三つ編み、パステルカラーといった女の子の象徴や、日本の学生服やジャージなど、身近なアイテムをデザインに取り込んだり、全国の地方都市を回って新作コレクションの発表会を行うなど、制作、販売ともに独自の手法を持つ。2011年、高円寺に対面式の直営店「スナック あの娘と僕をつなぐ服」をオープン。
浅田政志(1979−)
家族を被写体に架空のシチュエーションを作り込み、全員で扮装、演技して撮る家族写真で知られる。2007年初の写真集『浅田家』(ユトレヒト)を上梓。2009年写真集『浅田家』(赤々舎、2008)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。主な個展に「Tsu Family Land 浅田政志写真展」(三重県立美術館、2010)、主なグループ展に「LOVE展」(森美術館、2013)など。2013年に初の著書『家族写真は「 」である。』(亜紀書房)を出版。
神田恵介×浅田政志
コラボレーション作品として、被写体を全国の現役高校生・高等専門学校生から公募し、神田恵介が制服をつくり、それを着た高校生を浅田政志が撮影するプロジェクト《卒業写真の宿題》と、18歳以上を対象に架空の学校行事を行いその様子を撮った《卒業写真の自由研究》を出品。学校の教室を再現したインスタレーションとして構成する。当プロジェクトは2014年春に『卒業写真の宿題』(赤々舎)として写真集が出版されている。
COSMIC WONDER
1997年、前田征紀(1971-)が創設。「空間と人の精神に作用する波動」として服作り、作品作りに関わる。様々な表現手段を組み合わせ、ビジュアルイメージや素材のみならず、印刷物、展示、発表の方法まで、総合的に新しい位相を生み出す。2007年「Center for COSMIC WONDER」を開設、活動の拠点とする。
2013年、ニューヨークで屋外の公園を会場に行った「贈与」をテーマとしたプロジェクト《COSMIC WONDER RESTAURANT》をインスタレーションとして展示。
スーザン・チャンチオロ(1969−)
絵画作品として服を制作する。1995年自身のブランド「ランコレクション」を立ち上げ、最初のショー「RUN1」を開催。様々な人々とコラボレーションし、映画やインスタレーション、レストランなど多様な形式を用いて、2001年までに12回の「RUN」を発表した。その後は個人名で作品を発表。2013年個展「Susan Cianciolo “Objects and Shapes”美しい物たち」(三菱地所アルティアム)を開催。
本展では、展示室の壁一面にドローイング、写真、衣服、映像等を配置し、一つの壁画として構成する。
長島有里枝(1973−)
1993年、自分と家族の身体を題材とした写真作品で第2回アーバナート展パルコ賞(準優秀賞)を受賞し、写真を主な表現媒体として活動する。1995年、初の写真集『YURIE NAGASHIMA』(風雅書房)を上梓。1999年、California Institute of the Arts MFA修了。2001年、写真集『PASTIME PARADISE』(マドラ出版、2000)で第26回木村伊兵衛写真賞をHIROMIX、蜷川実花とともに受賞。2010年、『背中の記憶』(講談社)で、第26回講談社エッセイ賞を受賞。その他の作品集に『SWISS』(2010 赤々舎)、『empty white room』(1995 リトルモア)など。
本展では、家族のアルバムから発掘された自身の幼少期の写真と若かった母のセルフポートレイトに着想を得て、世代間で受け継がれるものをテーマに、家族のポートレイトを中心に構成したインスタレーション作品を構成。
パスカル・ガテン(1969−)
1990年代半ばより服作りを始める。ファッションをより概念的、理知的な文脈で捉え、衣服の発表や自主プロジェクトを通じて、消費のためのファッションではなくコミュニケーション手段としてのファッションにアプローチし注目される。教育にも積極的に携わり、現在はニューヨークのパーソンズ美術大学の統合デザイン課程准教授として教鞭をとる。
本展では、水戸芸術館の監視員と協同し行った制服のコンセプトを考える2週間のワークショップと、そこから伝達されたカリキュラムによって、当美術館の監視員が行ったワークショップの成果を発表。ワークショップに参加した監視員は、それぞれが自身でデザインし制作した制服を着用し本展における監視業務の際に着用する。水戸から続くワークショップの様子はガテンによってブログで公開されている。http://www.mitoguards.blogspot.jp
FORM ON WORDS
児童館を舞台にしたアートプロジェクト「ことばのかたち工房」(練馬区立東大泉児童館、2008−11)の活動を経て、2011年に西尾美也(1982-)、竹内大悟(1977-)、臼井隆志(1987-)、濱祐斗(1987-)を中心に発足。アートやファッション、ワークショップ、グラフィックデザインなど多様な専門領域を持つメンバーが集い、個人や地域コミュニティを対象に服とのさまざまな接し方(作り方、着方、遊び方など)を提案している。
本展では、地域住民から集めた古着とその服にまつわるエピソードをアーカイブ的に展示、また水戸芸術館で同様に集めた古着から制作した新作の衣服も合わせて展示する。
BLESS
1997年、イネス・カーグ(1970−)とデジレ・ヘイス(1971−)が設立、それぞれベルリン、パリに拠点を置く。快適な生活の提供を目的に、衣服だけでなく住環境も含めデザインをする。設立当初から一貫して既成の定義にしばられず、ファッション、アート、デザイン、建築の領域を横断、全作品にナンバー(N°)をつけ、各々コンセプトの異なるプロダクツとして発表している。
小金沢健人(1974−)
動きや音、光などを組み合わせた映像、インスタレーション、パフォーマンスなどを主な表現手段とする。身の回りのものや日常の出来事を素材に、ありふれたものに少し手を加え視点をずらすことで、そこに潜む謎や美しさ、おかしみを浮き上がらせる。主な個展に「あれとこれのあいだ」(神奈川県民ホールギャラリー、2008)、「動物的」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2009)、「Luftlinien」(Haus am Waldsee/ベルリン、2012)、主なグループ展に「あいちトリエンナーレ2010」など。
BLESS / 小金沢健人
BLESSのさまざまなプロダクツが組み込まれた14メートルに及ぶチェーン状のカーテン《N°45 Musiccurtain》に小金沢健人による新作の映像作品を投影したインスタレーション作品と、BLESSの新作ディスプレーツール《N°51 Sirent Servant》、小金沢の新作ドローイングによるコラボレーション展示をおこなう。
ホンマタカシ(1962−)
1980年代半ばより写真を主な表現媒体として活動、1991年より2年間ロンドンに滞在し雑誌『i-D』で活躍する。1995年初の写真集『Babyland』(リトル・モア)を上梓。1999年写真集『東京郊外』(光琳社出版、1998)で第24回木村伊兵衛写真賞を受賞。主な個展に「ニュー・ドキュメンタリー」(金沢21世紀美術館、2011、他2館を巡回)など。2013年、部屋をまるごとカメラにしたピンホール写真による個展「Pinhole Revolution / Architecture」(TARO NASU)を開催。
本展では、これまでの自身の写真作品を再構築し、多様な出力方法に写真集や雑誌などの複製媒体を取り混ぜ、90年代以降のファッションをドキュメンタリーとして表現する。
ミランダ・ジュライ(1974-)
パフォーマンス、映画、著述など、多様な表現手段で活動する。横浜トリエンナーレ2008やヴェネツィア・ビエンナーレ2009への出品をはじめ現代美術展での発表も数多い。監督・脚本・主演をつとめた初の長編映画「君とボクの虹色の世界」(2005)で、カンヌ国際映画祭カメラドールを受賞。主な著書に『いちばんここに似合う人』(Scribner、2007/和訳:新潮社、2010)、『It Chooses You』(Canongate Books、2011)など。
本展では、自ら出演し脚本、監督もつとめた最初期の短編映像と、2002年から09年にかけてアーティストのハレル・フレッチャーとともに行ったウェブサイト上の作品公募プロジェクト《Leaning to Love You More》より「Assignment #55 Photograph a significant outfit.」を出品。
横尾香央留(1979−)
刺繍、かぎ針編みなどの緻密な手作業によるお直しを中心に活動。主な著書に『プレゼント』(雄鶏社、2009)、『お直しとか』(マガジンハウス、2012)、主な個展に「お直しとか」(FOIL gallery、2011)、「変体」(The Cave、2012)、主なグループ展に「Future Beauty 日本ファッション:不連続の連続」(京都国立近代美術館、2014)など。
本展では、2013年にフィンランドのカルストゥラという小さな町に1ヶ月滞在し現地住民の衣服をお直しした作品を出品。滞在時に暮らしていた部屋をイメージした空間に、お直しした衣服、それを着た持ち主のポートレイト(ホンマタカシ撮影)、滞在日記、手紙などをインスタレーション展示する。
DIYメディア
1992年にエレン・フライスとオリヴィエ・ザムが創刊した『Purple』、林央子が2002年より自ら編集する個人雑誌『here and there』、ベンジャミン・ソマホルダーが2001年に創立したスイスの個人出版社Nieves。これら3つの媒体をDIYメディアによるインディペンデントな出版活動のあり方として紹介する。展示は、『here and there』、本展広報印刷物のアートディレクションを行っている服部一成が構成。