「ホーム・スイート・ホーム」ポスタービジュアル デザイン:川村格夫
1. マリア・ファーラ《テラスのある部屋》2021年 国立国際美術館所蔵
2. 潘逸舟《家ではない場所で豆腐を作る》2023年 作家蔵
3. 石原海《重力の光》2021年「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影:福永一夫 作家蔵
4. 鎌田友介《Japanese Houses》2023年「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影:福永一夫 作家蔵
5. リディア・ウラメン《母親たちが不在のあいだに》2015-2018年 Installation view Chisenhale Gallery 2018. Commissioned and produced by Chisenhale Gallery, London. Photo: Andy Keate.
6. 竹村京「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影:福永一夫 Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery
7. アンドロ・ウェクア《Levan Portrait》2017年 ©Andro Wekua, Courtesy of the artist, Gladstone Gallery, and Take Ninagawa
8. 竹村京《E. K.のために》2023年 Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery
9. 鎌田友介《Japanese Houses》2023年 作家蔵
10. マリア・ファーラ 展示風景
11. 竹村京 展示風景
12. リディア・ウラメン《母親たちが不在のあいだに》2015-2018年 Nicoletta Fiorucci Collectionおよび作家蔵
13. 潘逸舟《家ではない場所で豆腐を作る》2023年 作家蔵
14. アンドロ・ウェクア 展示風景
15. アンドロウェクア、潘逸舟 展示風景
8-15. 「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2024-2025年) 撮影:髙橋健治
ホーム・スイート・ホーム Home Sweet Home
2024年10月12日(土)- 2025年1月13日(月・祝)
休館日:月曜日(ただし10月14日、11月4日、2025年1月13日は開館)、10月15日(火)、11月5日(火)、12月25日(水) -31日(火)
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団、国立国際美術館
◎観覧料
一般950円(760円)、大学生650円(520円)、高校生以下または18歳未満・丸亀市在住の65歳以上・各種障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
*同時開催常設展「猪熊弦一郎展」観覧料を含む
*( )内は前売り及び20名以上の団体料金
*11月23日(土・祝)は開館記念日のため観覧無料
「ホーム」という言葉には、私たちが過ごす物質的な家、また家に集う集合体である家族、そして故郷や祖国という意味があります。本展タイトルの「ホーム・スイート・ホーム」という言葉は、「愛しい我が家」などとも訳され用いられてきました。
一方、2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症によるパンデミック期の「ステイホーム」において、私たちは「ホーム」というものについて意識的、無意識的に思いをめぐらすことを経験しました。あるいは世界各地における難民問題は、国際的な紛争などを背景にますます深刻なものとなり、祖国や故郷というものの意味を突きつけてきます。このようにビターな社会に生きる私たちにとって、「ホーム」とはどのようなものなのでしょうか。
本展は、歴史、記憶、アイデンティティ、私たちの居場所、役割等をキーワードに表現された国内外の現代美術家の表現をご紹介いたします。それらを通して、私たちにとっての「ホーム」、すなわち「家」そして「家族」とは何かということや、所属する地域や社会の変容、あるいは普遍性などを浮かび上がらせることを試みます。
「ホーム・スイート・ホーム」ポスタービジュアル デザイン:川村格夫
1. マリア・ファーラ《テラスのある部屋》2021年 国立国際美術館所蔵
2. 潘逸舟《家ではない場所で豆腐を作る》2023年 作家蔵
3. 石原海《重力の光》2021年「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影:福永一夫 作家蔵
4. 鎌田友介《Japanese Houses》2023年「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影:福永一夫 作家蔵
5. リディア・ウラメン《母親たちが不在のあいだに》2015-2018年 Installation view Chisenhale Gallery 2018. Commissioned and produced by Chisenhale Gallery, London. Photo: Andy Keate.
6. 竹村京「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(国立国際美術館、2023年) 撮影:福永一夫 Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery
7. アンドロ・ウェクア《Levan Portrait》2017年 ©Andro Wekua, Courtesy of the artist, Gladstone Gallery, and Take Ninagawa
8. 竹村京《E. K.のために》2023年 Courtesy of the artist and Taka Ishii Gallery
9. 鎌田友介《Japanese Houses》2023年 作家蔵
10. マリア・ファーラ 展示風景
11. 竹村京 展示風景
12. リディア・ウラメン《母親たちが不在のあいだに》2015-2018年 Nicoletta Fiorucci Collectionおよび作家蔵
13. 潘逸舟《家ではない場所で豆腐を作る》2023年 作家蔵
14. アンドロ・ウェクア 展示風景
15. アンドロウェクア、潘逸舟 展示風景
8-15. 「ホーム・スイート・ホーム」展示風景(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2024-2025年) 撮影:髙橋健治
マリア・ファーラ
イギリス人の父親とフィリピン人の母親の間に、フィリピンで生まれる。幼少期を山口県下関市で過ごした後、ロンドンに移住。ロンドン大学スレード美術学校修士課程終了後、現在もロンドンを拠点に制作を行う。ファーラの絵画には、日常の中で見た女性の姿や、記憶に残る生活の様子、興味のある動物の姿や食べ物が描かれる。そこには自身が大きな影響を受けた日本文化からの影響、またフィリピン女性コミュニティに見た異国で力強く生きる女性たちの姿を見ることができる。本展では、幼少期に下関で過ごした時の記憶をもとにした《下関海峡でおぼれる両親を救う》(2017年)や、新作三部作《台風の中、岩にしがみつく》《パンクしたディンギーを救う大型船》《ティーンエイジ・ロマンス》(2023年)などを展示する。
潘逸舟
中国・上海に生まれ、幼少期に青森に移住。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了後、現在は東京を拠点に活動する。中国で生まれ日本で育ったというアイデンティティを出発点に、社会と個人の関係の中で生じる疑問や戸惑いを、自身の身体や身近な日用品を用いた映像やインスタレーション、写真、絵画など様々なメディアで表現する。本展のために制作された《家でない場所で豆腐を作る》(2023年)は、2022年2月、コロナ禍に参加した中国・武漢でのレジデンス・プログラムでの体験をもとにした作品。 現地でリサーチした中国の伝統的な地方劇「打豆腐」をもとに、潘は現代に生きる自らの身体を用いて再解釈して表すことで、祖国の文化や社会を受容する。
石原海
東京生まれ、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業後、ロンドンに拠点を移し、現在はロンドン大学ゴールドスミス校に在学しながら活動を行う。愛やジェンダー、個人史と社会などをテーマに実験的な映画や映像を用いたインスタレーションに取り組んでいる。本展出品作《重力の光》(2021年)は、北九州の教会を舞台に、牧師やそこに集う人々による聖書劇をモチーフにした映像作品。様々な理由や背景から、社会にうまく適合しない人や救いを求める人々がともにつくり上げる居場所や関係性を写し出している。
鎌田友介
神奈川県に生まれ、東京藝術大学研究科先端表現専攻修士課程終了後、現在は福岡を拠点に活動する。1910 年から1945 年までに国外に建てられた日本家屋についてフィールドワークなどによるリサーチを行い、構造物や写真、映像などを用いて、歴史的事象と現在を交差させる作品を制作している。本展のために制作された《The Japanese Houses》(2023年)は、日本家屋の間取りを展示室に再現し、韓国で実際に用いられていた家屋の部材や写真、資料、また日本でも活躍した建築家、アントニン・レーモンドにまつわる映像を組み合わせたインスタレーションである。
リディア・ウラメン
アルジェリアに生まれ、ロンドン大学ゴールドスミス校に学んだ後、現在はスペイン・バルセロナを拠点に活動する。関心を寄せる現代の地政学や移民、植民地主義の複雑な歴史を主眼として、映像、彫刻、インスタレーション、音を駆使して独特の言語により表現を行う。本展に出品する《母親たちが不在のあいだに》(2015-2018年)は、ウラメンが北アフリカ移民のリサーチ最中に、アルジェリアの市場である男に金のチェーンを売り付けられた出来事から着想した作品。歯を全て抜いてアルジェリア 戦争への参戦を避けた祖父のように、ウラメンもまた自身の歯を抜いて、チェーンを溶かしてつくった金歯をインプラントにより埋めた。
竹村京
東京に生まれ、東京藝術大学大学院美術研究科終了後、ドイツ・ベルリンに滞在、現在は群馬県高崎市を拠点に制作を行う。主に写真やドローイングの上に刺繍を施した布を重ねたインスタレーションを発表している。刺繍による行為により「仮に」という状態を生み出すことで、かつて家族で暮らした家や親しい間柄にある人々につながる記憶や失われたものを具体的な存在として再構築する。本展出品作は、竹村の代表的なシリーズである、壊れた食器や日用品を用いた「修復シリーズ」のほか、インスタレーションによる新作《入ってもよろしいですか シーン1, 2, 3, 4, 5》(2023年)など。
アンドロ・ウェクア
ジョージアに生まれ、10 代の頃にソ連崩壊に伴う内戦で父親を亡くし、その後、スイスに移住、現在はベルリンを拠点に制作を行う。コラージュ、絵画、彫刻、インスタレーション、映像など、様々なメディアを駆使して作品を制作。アッサンブラージュ的な視覚効果によって、個人的、政治的な記憶の断片をステージ化し、個人的な世界を夢想的に構築する作品で知られている。本展出品作《タイトル未定(家)》(2012年)は、ウェクアの代表的な作品の一つであり、かつて居住し、現在は戻れなくなった故郷スフミの家をモデルに彫刻化したものである。本展には他にも、その家にも見出すことができる《窓》(2010年)などの絵画や彫刻を出品する。