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杉本博司 アートの起源 Hiroshi Sugimoto ORIGINS OF ART
◎杉本博司によるステートメント │ 科学 │ 建築 │ 歴史 │ 宗教 │
◎春[建築]
クロマニオン人はおよそ1万5千年前、前回の氷期の只中で、マンモスの骨を使った住居を建てていた。住居は火の使用とも密接に関係している。暖を取るためにはせっかく手に入れた火の熱を逃がさないようにしなければならない。毛皮を身に纏うことと住居を造ることも関連している。どちらも体温の維持に役立ったからだ。こうして人類は外気温の変化に影響されずに体温を一定に保つことによって、一年中繁殖が可能な発情期の年中化に成功するのだ。こうして人口はしだいに増えていった。
人類の暗く長い夜を住処の中で火を灯しながら暮らした記憶は、蝋燭の炎を燃え尽きるまで撮影した「陰翳礼賛」の作品群として展示される。また同じ蝋燭の光を受けて前近代の夜を見せる趣向も用意される。秀吉の陣幕と言われる醍醐寺伝来の辻が花幔幕の再現がそれにあたる。展覧会導入部には天平時代の古塔、当麻寺三重塔の古材を使った展示を写真による塔の原寸大再現作品とともに併置する。
杉本博司
1.《反重力構造》2008年、
「杉本博司 歴史の歴史」(金沢21世紀美術館、2008-09年)での展示風景
2.《護王神社 アプロプリエイトプロポーション 雛形》2003年、ミクストメディア
3.《光の教会》1997年、ゼラチン・シルバー・プリント
4.《世界貿易センタービル》1997年、ゼラチン・シルバー・プリント
5.《禊ぎ水路 100メートル 1レーン プールの為のプラン》2008年、ピグメントプリント
all images ©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
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