丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(以下、MIMOCA)では11月23日(木・祝)に、開館32周年記念イベント MIMOCA’S BIRTHDAYを開催しました。当日の様子をお届けします。
撮影:大峯達磨
1991年11月23日に開館し、この日をMIMOCAの「開館記念日」とし、毎年日頃の感謝をこめて皆さまに楽しんでいただけるよう様々なイベントを実施してきました。今年は、誕生日ならではの「おもてなし」をテーマに、全館無料のほかスペシャルなイベントをたくさんご用意しました。その様子をご紹介していきます。
当日は天候に恵まれ、温かい日差しの中で開館記念日がスタートしました。開館前から展覧会を見に来たお客様の列や、イベントを楽しみに来てくれた方などたくさんの方々がMIMOCAの誕生日をお祝いしにかけつけてくれました。
※全体マップ デザイン:三宅瑠人
当日はAISOという新しい自動BGM構築システムを使って、70~80年代の名曲の数々をゲートプラザ全体に流して皆様をお迎えしました。
※スタッフ撮影
AISOとは?...自動BGM構築システムでスイッチを入れればシステムに格納された様々な音が独自のルールで無限に演奏されるもの。
AISOのアカウントはこちらから→https://twitter.com/AISO_BGM
おもてなし①タコスパーティー
猪熊弦一郎(以下、猪熊)の妻、文子夫人はパーティーでタコスをよく提供していたそう。そこに着目し、猪熊夫婦のおもてなしを参考にみんなで「食」を楽しむイベントを実施しました。美術館の正面玄関であるゲートプラザを中心にタコス・ドリンク・デザートなど9ブースで提供。
引用
「タコは日本でタコスといいますが、今ハワイで大流行で、安くて簡単でおいしくて、たちながらでも食べられるのでとても楽しいものです」
「わが家のブランチ 猪熊ふみ子」『ミセス』第293号、昭和56年11月7日 発行、p.202
※スタッフ撮影
※スタッフ撮影
~出店舗のご紹介~
MASACASA TACOS マサカサタコス、季節を食べる食卓numar+百姓ミラクル、寧日、へちま文庫、久福ブルーイング本島、旅する ドコデモ くう食堂、旅ベーグル&スパイス、地域に出会う商店 ふじたしょうてん、mitosaya薬草園蒸留所+CAN-PANY 以上9店舗の皆様に出店いただきました!
おもてなし②ウェルカムガーデン
㈲フジタシードさんにハーブや野菜などをタネから大切に育てていただき、当日ゲートプラザの正面に皆さまをお迎えする小さな庭としてお披露目しました。タコスパーティに参加したお客様にはハーブや野菜を自分たちで摘む、ドリンクやフードに盛り付けるなどの体験を通して「食」を楽しんでいただきました。
おもてなし③トークショー
mitosaya薬草園蒸留所を主宰する蒸留家であり、今回のタコスパーティーを演出した江口宏志氏と、独自の観察眼で食へのアプローチを続けるフードエッセイストの平野紗季子氏による、この日限りの特別な対談を2階ミュージアムホールで開催しました。
トークショーのチケットとして、
・mitosaya薬草園蒸留所のカクテルまたはノンアルコールカクテル
・平野さん考案のノー・レーズン・サンドイッチ2個
・MIMOCA'S BIRTHDAY特製木粉皿
この日限りのスペシャルセットをご用意し、参加者の皆さまへお配りしました。
スペシャルセット(全てスタッフ撮影)
mitosaya薬草園蒸留所のカクテルまたはノンアルコールカクテル
平野さん考案のノー・レーズン・サンドイッチ
MIMOCA'S BIRTHDAY特製木粉皿
「おもてなし」に関する話や、香川県で食べたうどんの話などなど、「食」をテーマに楽しいトークが繰り広げられました。
おもてなし④学芸員によるトーク「お話します。いのくまさんと絵のこと。」
当館学芸員がゲートプラザの壁画《創造の広場》や猪熊の絵画などをご案内しながら、猪熊とその作品、またMIMOCAについてお話しました。学芸員が話し始めると、吸い寄せられるように聞き入る方や興味津々にうなずく方など、いつの間にか大きな人だかりができていました。
おもてなし⑤ミュージアムグッズのセール
1階ミュージアムショップでは、猪熊の「人々の身近なところに美しく、愉しいものを」という思いをもとに制作したオリジナルグッズの一部を、この日限定で割引販売しました。猪熊グッズはステーショナリーやハンカチなど普段使いがしやすく大変ご好評いただいております。たくさん購入でき嬉しそうなお客様もいらっしゃいました。
また特別に、猪熊が描いた猫と犬のドローイングをあしらったペーパーナプキンを開館記念日にあわせ開発しました!
※スタッフ撮影 15枚入り/660円(税込)販売中(2023年12月時点)
タコスパーティーやトークショーのスペシャルセットと一緒に提供しました。こちらは継続してミュージアムショップで販売しております。
おもてなし⑥ものづくりワークショップ
2階造形スタジオでは、"すうじのつぶやき"さんを講師にお招きして、午前中は数字を使ったおめん作りワークショップ・午後は数字を使って自由に作品を制作できるオープンスタジオとして開放し、たくさんの方々にものづくりの楽しさを体験していただきました。
午前中の「ペタペタおめん」の様子
実際に作ったおめんをかぶって、カスケードプラザなど館内をみんなで歩きました。おめんの列を不思議そうに見ている方や楽しそうに眺めている方などもいらっしゃいました。
午後のオープンスタジオ「どんどんジャングル」の様子
大きな板に、みんなですうじをつなげたり重ねたりしてジャングルを育てます!
このプログラムは、11/25・26(土・日)、12/2・3(土・日)、12/9・10(土・日)も実施して、どんどんすうじが増えていきました。
おもてなし⑦カフェの特別メニュー
3階カフェMIMOCAでは、お誕生日特別メニュー「special menu プリン」を販売しました。(数量限定だったため、惜しくも食べられなかった方もいらっしゃるかもしれません...。ごめんなさい)カフェではイベントに合わせたメニューを考案し販売することがあります。是非カフェMIMOCAのメニューをInstagramでチェックしてお越しくださいね。
カフェMIMOCAのアカウント→Cafe MIMOCA(@cafemimoca) • Instagram写真と動画
※スタッフ撮影
おもてなし⑧テーブルセッティング
2階アートセンターでは、対談をした江口氏と平野氏による特別テーブルセッティングもご用意しました。「自分たちのおもてなし」をテーブルに再現してくれました。
おもてなし⑨ミュージック
1階ゲートプラザで流していた音楽は、生前、猪熊が所有していたカセットテープのリストをもとにしています。「時を超えて、猪熊の部屋から聞こえてくる音楽」をテーマにオリジナルAISOを制作しました。
※スタッフ撮影
ここで、お祝いに来てくださったお客様からのメッセージをご紹介します。
「美術館は敷居が高いと思っていたが、フライヤーを見て今回初めてMIMOCAに来た。勇気出して来てみてよかった」(地域の方)
「来年の開館記念日まで長生きせんとな」(地域の方)
「こんなハッピーなイベントをありがとうございます」(県外の方)
今年は新型コロナ感染症が5類に移行して、人の動きが活発になってきました。やっとMIMOCAのお誕生日を皆さんと一緒に盛大にお祝いすることができたこと、職員一同嬉しい気持ちでいっぱいです。たくさんのお客様に温かい気持ちで祝福され、美術館全体が華やかで明るいオーラに包まれました。
猪熊は、日常とは違う美しい空間で新しいものに触れ、リフレッシュしてほしい。そのために、誰もが気軽に来ることができる場所に美術館があるべきと考えて、MIMOCAを丸亀駅前に建てることに賛同しました。今回のレポートを読んで、「楽しそう」・「来年行ってみたいかも」と気軽に思って頂けると幸いです。
そんな気持ちで、普段のMIMOCAにもぜひお立ち寄りください。お待ちしております。
それでは、来年の開館記念日もお楽しみに。
文/佐伯美帆
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