子ども~大人向けワークショップ 企画展「回復する」関連ワークショップ 日光で描くフォトグラム~青写真をつくろう!
企画展「回復する」出品作家・兼子裕代によるワークショップを実施します。カメラを使わずに像を写し取るフォトグラムの中でも、美しい青色の濃淡が特徴のサイアノタイプを、印画紙からつくります。作家による展覧会出品作品の解説あり。
2024年2月12日(月・祝)10:00~16:00 *45分間のお昼休憩を含む
場所:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 2階造形スタジオ、館外
講師:兼子裕代(写真家)
対象:小学生〜大人
定員:15名/要申込
参加料:無料
申込締切:1月24日(水)まで
主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団
助成:一般財団法人自治総合センター
兼子裕代(かねこひろよ)
青森県生まれ。カリフォルニア州オークランド(アメリカ)を拠点に活動。明治学院大学文学部フランス文学科卒業後、会社員を経てロンドン(イギリス)で写真を学ぶ。2002年にアメリカに拠点を移す。2021年より北カリフォルニアのオークランドにある植物栽培園、プランティング・ジャスティスに参加し、スタッフと一緒に美術の創作活動を行っている。
◎ワークショップのポイント
・日光で焼きつける写真技法
サイアノタイプ(青写真/日光写真)は19世紀中頃に考案された写真技法です。カメラを使用しないフォトグラムの中でも、サイアノタイプは紫外線が当たった部分のみ青く発色する薬品の性質を利用するため、暗室さえ必要とせず、年齢に関係なく誰でも気軽に楽しめます。
・地域の素材で印画紙を制作
四国の和紙を印画紙として使用します。
参加者自身が和紙や水彩画用紙に薬品を塗布し乾燥させて、自分だけの印画紙をつくります。
・出品作品との関わり
企画展「回復する」では、サイアノタイプを制作する人々の様子をとらえた兼子の写真作品や、そのサイアノタイプ作品が展示されます。ワークショップでの体験を通して、兼子の作品への関心が深まります。
◎当日の動き・スケジュール(予定)
10:00 受付
10:10-12:00 印画紙制作、展覧会鑑賞、素材探し
12:00-12:45 お昼休憩
12:45-15:35 露光、水洗、乾燥
15:35 終了(最長16:00まで)
◎注意事項
本プログラムでは、印画紙制作のため薬品を取り扱います。薬品は安全に扱うことができますが、家庭用洗剤などと同様に、誤って使用した場合にはリスクがあります。薬品による事故も考えられますので、よろしければ安全ゴーグルやマスクをお持ちください。なお、ビニール手袋はこちらで準備いたします。
◎レポート
当日の様子をご紹介します。
【1】講師の兼子さんより、サイアノタイプの歴史や制作手順について説明いただいた後、印画紙を制作しました。
印画紙に使用した紙は水彩紙と和紙です。参加者は、水彩紙1枚と、阿波和紙・伊予和紙・土佐和紙、更に丸亀うちわに使われている仙貨紙から好きな紙を2枚選びます。
そして、選んだ紙の全体にスポンジブラシを使って薬品を塗り、2時間ほど乾燥させます。(画像3)
【2】次に展示室へ移動し、兼子さんから直接、出品作品についてお話しいただきました。創作活動を行うスタッフの方々の姿をとらえた兼子さんの写真作品やサイアノタイプそのものを鑑賞し、作品への理解を深めました。(画像4)
【3】作品を鑑賞した後は、全員で館外に出て周辺を散策しました。道の傍らに生える草花を吟味しながら集めました。(画像5)
【4】お昼休憩後、活動再開です。最初に兼子さんから制作のコツや3種類のサイアノタイプを制作できることをお話しいただきました。
1つ目は、【3】で採集した草花に加え、クリップや輪ゴム、レース、参加者が自宅から持参した布などのオブジェを写しとる方法。2つ目は、透明フィルムにメッセージやイラストを描いて、その形や筆跡を写しとる方法。そして、3つ目は参加者から事前に提出いただいた画像のデジタルネガフィルムを用いる方法です。オブジェとイラスト、ネガフィルムとオブジェなど、それぞれを組み合わせて挑戦する参加者もいました。
まずは、ボードの上に乾いた印画紙を置きます。そして、草花や透明フィルムを並べます。並べ終わったら、アクリル板を印画紙の上に置き、オブジェを固定します。(画像6,7)
【5】固定した印画紙を持って、屋外のカスケードプラザへ移動し、10分~15分ほど露光します。日光に当てると、薬品を塗った部分がみるみる変色していきました。参加者は、その様子をじっと見守ります。(画像8,9)
【6】露光を終えたら、スタジオに戻り印画紙を水洗します。グレーや茶色に変色した印画紙を水洗すると、余分な薬品が流れ出し、美しい青色に変わります。鳥の羽や葉の葉脈など繊細なものも写しとることができ、驚いている参加者の姿も見られました。(画像10)
【7】参加者は、オブジェの配置・露光・水洗を繰り返して、いくつかの作品を完成させました。14時頃になると日光の量が不足し屋外での露光が難しくなるため、UVライトを使用してデジタルネガフィルムの焼きつけに挑戦しました。(画像11)
【8】最後に、完成した作品を全員で鑑賞しました。それぞれの作品に対して兼子さんからコメントをいただいたり、参加者同士で質問しあったりして交流を深めました。(画像12,13)