MIMOCA NEWS 001


exhibition

「みずのき寮からの発信」展について 1999.10.24-2000.1.10

みずのき寮というのは京都府亀岡市にある知的障害者更生施設です。「みずのき寮からの発信」展は、ここの絵画教室で制作された作品を紹介する展覧会です。   

知的障害者更生施設って一体どんなところなのだろう。展覧会担当者に聞いてみると、みずのき寮のことが紹介された雑誌(「芸術新潮」1995.2月号)やこれまでの展覧会の図録を見せてくれました。それから「この本はみずのき寮のことではないけど、良い本なのでぜひ読んでほしい」と言って教えてくれたのが「ふしぎのアーティストたち」(田島征三著 労働旬報社)です。

画家の田島征三さんが、信楽青年寮の人たちとの交流を綴ったものです。信楽青年寮では、和紙や土鈴の生まれた陶芸の工房があります。授産施設だから売れるものをつくらなければという施設の職員たち。そんなことは関係なく、いいものはいいと心から彼らの作品を賞賛した田島さんによって彼らの考えも変わっていきます。信楽青年寮の作品は田島さんによって光をあてられたのでした。

彼らに障害があるとかないとかが問題なのではなく、それがすばらしいと感じる自分の気持ちに素直になること、アートにはそんな力があるように感じられました。

「絵というものの生命は、結局その人なんです。抽象だろうが何だろうが心で描くもの。その人が画面の中で声を大きくして叫んでいれば人を打つんです。そういうものがアートだと思います。」 これは猪熊がアートについて語ったときの言葉です。

みずのき寮の絵画教室は国内では古く、1964年に始まりました。日本画家の西垣籌一(にしがき ちゅういち)さんが指導にあたり、当初は公募展などに出品することで作品を発表していましたが、1985年からは美術家養成を目指した作品制作を行っています。みずのき寮で彼らの作品に光をあてたのは西垣さんです。

みずのき寮から大声で発信されるメッセージをみなさんがどのように受け取ってくれるのだろう。担当者は今日もみなさんのご来館をお待ちしております。展覧会のワークシートも好評です。ぜひお試しください。


現在、絵画教室の指導にあたっていらっしゃる谷村さんです。10月24日のギャラリートークのために来館されました。

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