本書は文学、美術、音楽それぞれの分野で活躍していた3人にドイツ人写真家 |
が1992年にインタビュー、撮影したものをまとめたものです。 |
インタビューに応えてその道を志した理由や思想が熱っぽく語られ、果ては世界 |
観、哲学まで話は広がります。埴谷は人間はどこまで自由に迫れるかを小説の中 |
で追求し、猪熊は殻を突き破り、枠を取り去った所に新しいものがあり、常に先へ |
進むことが大事だと話します。そして武満は音楽は人間にとって何かと問いかけ、 |
生きていくことに何か関わりがあればと語ります。そこには3人3様の世界観が繰 |
り広げられており、彼らの生の人間性を窺い知れるインタビューになっています。
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現在はここに登場した3人はいずれも亡くなっており、新たに発表される作品を |
みることは不可能になってしまいました。しかし残された作品だけでも接して彼ら |
の世界を感じてみたい、芸術とは何かを考えてみたいと思う気持ちにさせられる |
読後です。 |