ヤン・ファーブル展 2001.3.3−5.27 |
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「ヤン・ファーブル」って? |
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2001年3月3日から「ヤン・ファーブル展」が開催されますが、これはヤン・ファーブル |
にとって日本初の本格的個展であるとともに、ミモカが日本で唯一の会場となります。 |
そうは言われても「ヤン・ファーブルっていったい誰?どんな作品を制作している人な |
の?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。またファーブルと聞いて『ファー |
ブル昆虫記』を思い出した人も少なくないでしょう。実は昆虫記を書いたジャン=アンリ |
・ファーブルは彼の曾祖父にあたります。 |
ファーブルの代表作に、『青の時間』のドローイングシリーズと昆虫を用いた作品をあ |
げることができます。彼自身は20歳を過ぎて初めて曾祖父が自然学者であると知り、 |
『青の時間』という昆虫記に出ている言葉にいたく感動して自分の作品にそのタイトル |
をつけたそうです。この時間は「夜の動物たちが静まり、昼の動物たちが目をさます、 |
その間の静寂」を指しています。つまりこの沈黙の間に、ファーブルは生気を失った作 |
品を再生することを試みているのです。 |
スカラベ(フンコロガシ)などの甲虫類を用いた作品に対して、一見すると人によっては |
嫌悪感を抱くかもしれません。しかしその一方でスポットライトに照らし出された自然の |
持つ美しさに畏敬の念を抱かずにはいられません。人類と昆虫は全く無縁のように思 |
えますが、人は昆虫を昔から身近な存在として扱ってきました。芸術作品としての歴 |
史も古く、古代エジプトでは新しい生命を導くお守りとしてのスカラベ像や日本の法隆 |
寺にある玉虫厨子がよく知られています。ファーブルにとっての昆虫は、生と死との間 |
というイメージ、そして卵・幼虫・成虫へとドラマチックに変化するメタモルフォーゼのイ |
メージにほかなりません。 |
写真は「フランダースの戦士(絶望の戦士)」という作品ですが、タマムシに覆われた |
像が金属の鎧でまとわれ、その上部をか細い木材の足が支えています。これは彼の |
祖国ベルギーの複雑な歴史を表していると言われています。常には身を守るはずの |
甲虫の殻も、この作品ではもろく繊細に見えます。こうしてファーブルは作品にアイロ |
ニーをこめたメッセージを私たちに発しているのです。 |
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Flemish Warrior (Warrior of Despair) 1996
photo by ATTILIO MARANZANO |
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